証人尋問の進み方(民事事件)
2024-02-08
カテゴリ:訴訟手続
証人尋問の進み方(民事事件)
民事事件では、事件の審理が始まってから、しばらくの間は、争点整理といって、当該事件について、原告と被告が互いに準備書面と呼ばれる書面や書証(証拠)を提出しながら、争点を絞り込んでいく手続が行われます。「しばらくの間」と書きましたが、訴訟の手続のほとんどの時間をこの手続が占めると言ってもよいほどで、複雑な事件になると数年掛かることもあります。
この争点整理の手続において、必要に応じて書証(証拠)が提出されるのですが(「必要に応じて」というのは、お互いに争いのない事柄については証拠の提出を要しないからです。)、全ての争点について、書証(証拠)だけで認定ができることはまれであり、最終的には、当事者や証人の証言を証拠とすることになります。これが、証人(当事者)尋問の手続で、争点整理後に行われることになります。そして、証人尋問の手続が終わると、その結果も踏まえて、最終準備書面と呼ばれる最後の主張書面を提出し(提出しないこともあります。)、審理が終結して、判決という流れになります。
このように、書証(証拠)で決定的に結論が決まらない事件では、証人尋問は非常に重要です。それまで、お互いに、自分に有利なことを準備書面に書いて提出していて、また、証人尋問の直前には、証人(当事者)の言い分を陳述書という形式でも提出しているのですが、これらが本当のことなのかを確かめるための手続であるとも言えます。
証人(当事者)尋問では、まず申請者側から主尋問と呼ばれる尋問を行います。その中で、準備書面や陳述書に書かれたことを裏付けるような内容を説得的に答えて頂くように尋問をしていきます。
そして、次に行われるのが相手方側からの反対尋問と呼ばれる尋問です。ここでは、逆に、申請者側の準備書面や陳述書の内容と矛盾している事柄や不自然な証言をあぶり出していくということを行います。
この反対尋問がうまくいく、うまくいかないで、判決の結論が変わることもあるくらい、重要な手続であると言えます。
もちろん、毎回必ずうまくいくわけではないのですが、弁護士は、証人尋問の前には、入念にシュミレーションをして、できるだけ、うまく矛盾点や不自然な点をあぶり出していけるように検討を繰り返します(極端な話、質問の順番を入れ替えるだけで、反対尋問の出来が変わってくることもあると思います。)。
私も含め、多くの弁護士は、それぞれ反対尋問のテクニックや方法論を持っていると思いますが、それは、言わば「企業秘密」ですので、誰も公開していないと思います。
コラム「証人尋問調書とは?(民事事件)」もご参照ください。