最高裁判所への上告について
2023-04-12
カテゴリ:訴訟手続
最高裁判所への上告とは、高等裁判所の二審判決に対する不服申立てです。正式には、上告と上告受理申立とがあります。
上告の理由は、判決に憲法違反がある場合等に限られ、かなり限定されます。上告受理申立の理由には、法律解釈の違反や最高裁判例や高裁判例と相反する判断があるといったものが含まれていますので、上告する場合には、上告受理申立も同時に行うということが多いです。また、明らかに上告の理由がない場合には、上告受理申立だけを行うこともあります。
ところで、このように上告や上告受理申立を行っても、最高裁判所で実際に裁判が行われ、審理されるということは稀です。多くの事件は、数か月後に、上告棄却の決定や上告審として受理しない決定が決定書1枚で届いて、最高裁判所に赴くこともなく終了します(中には何年も待たされた挙句、決定書1枚が届くということもあります。)。
逆に言うと、最高裁判所で裁判が行われ、審理されるということは、高等裁判所の二審判決の結論が見直されるか、他の事件にも影響を与える内容を含むため、最高裁判所が判決理由を修正するという可能性が非常に高くなります。
そのため、二審判決で敗訴していた場合、最高裁判所で裁判が行われることになると希望が出てくるので、喜び勇んで最高裁判所に赴くことになりますし、勝訴していた側は非常に心配しながら赴くことになります。
私(村川昌弘)は、これまで3度実際に最高裁判所に赴いています。1つは、高等裁判所で敗訴していた事案が実質逆転勝訴(相手方が敗訴判決を見越して請求認諾し、裁判を終わらせました。)、1つは、逆に高等裁判所で勝訴していた事案が逆転敗訴、もう1つは、最高裁判所が高等裁判所に審理を差し戻しました(最終的には、高等裁判所で勝訴し確定しました。)。
ところで、最高裁判所の審理は少し変わっていて、自由に発言させて頂けません。クイズ番組のように、目の前のランプが灯ってから発言(弁論)してくださいと言われます。ここしばらくは最高裁判所に赴くことがないので、今は変わっているのかもしれませんが…。3度も最高裁判所に赴くというのはなかなかないと思いますので、よい経験をさせて頂いています。
また、控訴審については、「控訴による一審判決の是正」をご参照ください。