控訴による一審判決の是正
2023-09-22
カテゴリ:訴訟手続
控訴は、一審判決に対する不服申立てです。
一審判決が地裁判決・家裁判決の場合は高等裁判所が、一審判決が簡裁判決の場合は地方裁判所が、控訴審の審理を行います。
一審判決は、法専門家である裁判官が、当事者の主張や提出された証拠を詳細に検討し出した結論なので、一審判決が控訴審で見直しされる確率は、高いか低いかで言いますと、正直言って低いです。
しかし、一審では提出されていなかった証拠が新たに見つかって提出された場合や、一審とは代理人(弁護士)が交替することで、物の見方が変わり、新しい主張が出されることによって、一審判決が見直されるということも十分にあり得ます。
なお、主張や証拠の提出は基本的に当事者に任されているので、このような場合に一審判決が見直されることは、一審の裁判官の責任ではないと思います。
ただ、稀には、一審判決の誤りが一審の裁判官の責任ではないかと思われることもあります。私自身も、裁判官が思い込みで証拠(証言)を評価したとしか思えない経験をしたことがあります。その事例では、私は、内心、勝訴を確信していたのですが、反対尋問によって完全に崩れていた証言をなぜか一審の裁判官が全面的に採用して、敗訴させられたのです。当事者の方も大変驚かれていたのですが、控訴をして頂くことができたので、控訴審で一審判決の見直しが行われ、結果的に、全面勝訴に近い和解による解決となりました。このとき、高裁の担当裁判官が当方に対し、深々と頭を下げられ、大変問題のある一審判決でした、と仰られたことは大変印象に残っています(控訴費用など余計な費用が掛かったことを念頭に置かれていたのかもしれません。)。
このようなことは本当にレアケースですが、一審判決が納得いかない場合は、何か新しい証拠がないかと探して提出するなど、最後まであきらめずに裁判を戦って頂ければと思います。