審査請求、再審査請求、取消訴訟のどの不服申立てでも共通することですが、労災認定がされない理由をよく確認したうえで、その点に関する主張や立証(証拠集め)を行うことが重要です。
被災者が務めていた会社が社会保険に加入していなかったとか、被災者がパート労働者であったため社会保険に加入してなかったなどの事情で、被災者が労働者であったことの確認がとれないという理由で労災認定がされない場合があります。
そのような場合は、古い給料明細や日記帳、勤務先で撮影した写真や元同僚の証言などによる立証が考えられます。
勤務先企業が、自社にはアスベスト(石綿)ばく露をするような仕事はなかったなどと言って否定することがあります(勤務先企業が後で損害賠償請求を受けることを恐れるといった事情が影響していることがあります。)。その結果、仕事でのアスベスト(石綿)ばく露があったことの確認がとれないという理由で労災認定がされない場合があります。
そのような場合は、被災者自らの証言や元同僚の証言などで、仕事でのアスベスト(石綿)ばく露があったことを立証していくことが考えられます。
そのほか、アスベスト(石綿)ばく露による労災不認定事例で特徴的なのは、アスベスト(石綿)ばく露と病気との因果関係が認められないという理由によるものです。
とくに、肺がんは、中皮腫などとは異なり、アスベスト(石綿)ばく露以外の原因も考えられる病気であるため(「非特異的疾患」などといわれます。)、アスベスト(石綿)ばく露によって引き起こされたとの関係(「石綿起因性」などといわれます。)の立証が必要になります。
この点、労災認定基準では、このような関係が認められる基準(指標)が複数設けられているところです。しかし、それらの基準(指標)のいずれも満たさないとして、不支給決定等を受けることがあります。基準(指標)とされている医学的所見等が認められるかどうかには個人差があるため、そういう事態も十分にあり得ることです。
このような場合は、行政によって労働災害であると認定してもらえないことが往々にしてあり、認定獲得のためには、取消訴訟を提起せざるを得ないことがあります。
裁判では、医師に意見書をお願いするなどして、労災認定基準(指標)を満たしていることの立証をすることがあります。また、喫煙歴がないとか、同じ仕事をしている人が多数アスベスト(石綿)関連疾患にかかっているから相当に高濃度のアスベスト(石綿)ばく露があったはずだといった事情を立証するなどして、労災認定基準(指標)を満たしていなくても、労災認定されるべきだと主張することもあります。
取消訴訟は、決して簡単な訴訟(裁判)ではありませんが、全国的に勝訴の事例もいくつもあるので、諦めずに挑戦して頂きたいと思います。